泌尿器科の感染症は、尿路(膀胱、腎臓、前立腺など)に細菌やウイルス、真菌が感染することで発生する病気です。はじめは膀胱炎だけでも、後から腎臓などに感染が広がることもあり、早期に適切に治療することが大切です。

感染症
感染症
泌尿器科の感染症は、尿路(膀胱、腎臓、前立腺など)に細菌やウイルス、真菌が感染することで発生する病気です。はじめは膀胱炎だけでも、後から腎臓などに感染が広がることもあり、早期に適切に治療することが大切です。
女性に多く、排尿時の痛み、頻尿、血尿が特徴的な症状です。多くは排尿の最後の方や排尿後にしみるような不快な痛みを感じます。また残尿感がひどかったり、何度もトイレに行くようになったりします。さらに悪化すると、排尿時の焼け付くような痛み、血尿が現れることもあります。膀胱炎は何らかの原因で尿道から細菌が膀胱へ侵入することによって起こります。一番の原因となるのは大腸菌ですが、通常は抗生剤治療で数日以内に完治することがほとんどです。膀胱炎は放っておくと腎盂腎炎(じんうじんえん)を併発してしまうこともありますので、膀胱炎の疑いのある症状が出た場合、早めの受診をお勧めします。
急性細菌性前立腺炎の多くは大腸菌などの細菌が尿道から侵入し、前立腺に感染することで起きますが、血液やリンパ液から細菌が前立腺に侵入して感染する場合もあります。症状としては、高熱(発熱)や排尿困難、排尿痛、頻尿、全身倦怠感などです。治療が遅れた場合、敗血症に移行する場合があり、早期の治療が重要です。慢性前立腺炎は長時間座ったままの姿勢を取り続ける人、働き盛りの20~40代に多いのが特徴です。会陰部の不快感、排尿時排尿後の痛み、射精時射精後の痛み、精液に血が混じるなどの症状が現れます。治療は症状によって異なりますが、症状が改善するまでに数カ月かかることもあります。
尿路に起こる細菌感染症の一つです。腎臓内にある尿のたまる部位を腎盂(じんう)といいますが、そこに膀胱から大腸菌などの細菌が逆流することで感染を起こします。急な発熱、悪寒、吐き気、脇腹や腰の痛みなどの症状が出ます。抗生物質や抗菌薬で治療し、3〜5日ほどで熱は下がりますが、治療が遅れると入院が必要なこともあるので早期の治療が大切です。女性は、尿道長が短く、膣に細菌が定着しやすいことから、大腸菌などの細菌が尿道口から侵入しやすいため、男性に比べ尿路感染症が起こりやすいとされています。生理で衛生管理が一時的に難しいことや妊娠期に尿の流れが悪くなる(子宮が大きくなることで尿管を圧迫する)ことも要因として考えられています。
予防はお風呂やシャワーなどで陰部を常に清潔に保つことが大切です。排便後にも陰部の洗浄を行うと効果的です。細菌が尿道に入り込んだ場合、腎臓まで上ってこないようにすることも大切です。対策として、水分を適切にとり膀胱に尿をためないようにしましょう。
精巣の後ろにある精巣上体が炎症を起こす病気です。精巣上体は、精巣で作られた精子が通過し、成熟する細い管状の構造で、この部分に感染や炎症が起こると、痛みや腫れなどの症状が現れます。精巣上体炎の原因は感染症が多く、性行為感染症、尿路感染症、尿の逆流、結核などが挙げられます。治療の中心は抗生物質による感染のコントロールです。原因となる細菌に対して効果的な抗生物質が処方されます。精巣上体炎は早期に適切な治療を受けることで完治することが多いですが、症状が出た場合は迅速に受診することが大切です。
尿道炎は細菌感染や尿道の粘膜に傷つくことで起こります。クラミジア性尿道炎や淋菌性尿道炎など性感染症によることが多く、排尿時に焼けつくような痛みやかゆみ、不快感があります。尿道から黄色や白色の膿が出て下着を汚したり、尿出口が赤く腫れたりします。頻尿などの症状が現れることもあります。男性の場合、尿道炎を放置すると精巣上体炎(副睾丸炎)に進行することがあります。また、尿道狭窄となり、排尿に支障をきたすようになるため、早めの受診が必要です。
性行為を通じて感染する病気です。これらの感染症は、性感染症(STI)とも呼ばれ、主に性器、尿道、直腸、口腔などの粘膜に感染します。性感染症は、症状が現れないこともあるため、無症状のまま他人に感染を広げる可能性もあります。
排尿時の痛み、膿のような分泌物、女性では膣からの異常分泌物、腹部の痛みなどがあります。無症状の場合も多い感染症です。
治療をしないと、女性では骨盤内炎症性疾患(PID)、男性では尿道炎や精巣上体炎を引き起こすことがあります。
排尿時の痛み、膿状の分泌物、女性では膣からの異常分泌物、腹部痛があります。無症状の場合もある感染症です。
性器や口唇に痛みを伴う水疱ができる感染症で、発熱や全身の不調を伴うこともあります。一度感染すると、ウイルスが神経に潜伏し、再発することがあります。
性器や直腸周囲にいぼ(尖圭コンジローマ)ができることがあります。無症状の場合もあります。一部のHPVタイプは、子宮頸癌やその他の性器癌と関連があります。